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成年後見制度~成年後見人の任命~

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成年後見制度~成年後見人の任命~

Enduring Power of Attorney(EPA)とは

遺言書の作成時に併せてお勧めしたいのが、Enduring Power of Attorney(EPA)と呼ばれる成年後見制度による成年後見人の任命に関する委任状の作成です。  このEPAとは事故や病気で植物状態や認知症になってしまった場合、すなわち、委任者本人が意思決定することができなくなってしまった場合に効力が発生するよう定めておき、代理人を指定することができる持続的委任状のことをいいます。 

遺言書はあなたが死亡した時に効力を持ち、EPAはあなたが意識不明や判断能力が無くなった時に効力を持つと認識しておくと解りやすいと思います。

ここ数年多くの高齢者が望まない治療や施設での生活を余儀なくされるといったケースを多く見聞きするようになりました。 もし判断能力が不十分になったら誰があなたの変わりに決めてくれるのでしょうか?  成年後見制度とは判断能力が不十分な方々を法律面や生活面で保護し支援する制度です。  有事に備えて、健康な時に遺言書と併せてEPAも作成されておくのが良いでしょう。

Enduring Power of Attorney(EPA)活用事例

例えば、あなたが交通事故に遭ってしまい、意識不明になってしまった場合、どのような治療を施すのか、医療費やその他諸々の支払いはどうするのか、そして、支払いに際してあなたが保有している銀行口座などにアクセス出来るのか、といったことについて、有事の際にあなたの代わりに意思決定することができる代理人を指定しておくことができます。  EPAを作成しておけば、あなたの意識や判断能力が戻るまでの間に発生する様々な取り決めを、あなたが信頼できる代理人に委託しておくことができます。  

また、高齢者の方は、認知症の進行によっては、判断能力を欠くようになり、資産管理が非常に困難になる場合があります。  このような場合に備えて、EPAを作成しておけば、信頼できる代理人に資産管理を任せることができます。

Enduring Power of Attorney(EPA)作成の注意点

EPAは州法で制定されているため、州によって適用される法律と要件が若干異なる場合があります。  もしEPAを作成された後に他州へ引っ越した場合は、そのEPAが引っ越した先の州でも有効なものと認識されるか政府機関に確認されておくと良いでしょう。 

なお、インターネット上ではEnduring Power of Attorney(EPA)のことを ”持続委任状” や ”持続的委任状” と表記するページが散見されるため、少し違和感を覚えますが、これらは成年後見人の任命に関する委任状のことを指します。

次のページでは、 ”弁護士が教える揉めない遺言・相続手続きについて” 解説したいと思います。

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