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弁護士が教える オーストラリアのリース契約

オーストラリアでビジネスを始めるにあたり、オフィスや店舗を借りる際の注意事項を説明します。

オフィスや店舗の立地

ビジネスを始めるにあたり、オフィスや店舗の立地は非常に重要な役割を果たします。 どこにビジネスの拠点を築くかにより、必然的に商圏が決まってくるからです。 来客を想定していなかったり、オンラインが中心となるビジネスの場合はあまり関係ないかもしれませんが、会社概要などでオフィス街の住所が表示されている場合と、住宅地の場合では顧客が受ける印象は大きく異なります。  

もちろん、行われようとするビジネスによりけりですが、一般的にオフィスや店舗は一度契約を締結するとリース期間の縛りや金銭的な問題もあるため、簡単に引っ越すという訳にはいきません。少しでも自分のビジネスに有利になるような立地を選ぶことが大切です。

オフィスの場合

オフィスを借りる際には、交通の便の良さ、駐車場の有無、主要取引先の有無などにより立地は左右されます。 公共交通機関が発達しているエリアであれば、取引際を訪問する場合にも、顧客が来社する際にも便利です。 また、業務上、頻繁に出かける公共施設や取引先があるのなら、近くにオフィスを構えれば貴重な時間と交通費を節約することもできます。  しかし、車での移動が中心となる場合は、公共交通機関よりも近隣エリアの渋滞程度でしたり、駐車場の有無が大切になってきます。 顧客が車で来客した際にスムーズにアクセスできるかどうか、駐車場までの距離や空き具合などが重要なポイントとなります。 業務を行う上で効率的に移動でき、取引先にふさわしいと思われるような立地を選ぶとよいでしょう。

飲食店の場合

レストランやバーなど飲食店の場合は、店の立地がすべてというケースが殆どです。 利用者に近い場所で人通りが多く、対象者が増加傾向にあり、なおかつ競争相手が比較的少ない場所であれば、有利にビジネスをスタートできます。 ただし、立地が良ければ賃料も跳ね上がるため、内装費用などを含めて支払いが可能かどうかをよく検討しなければなりません。

中には、敢えて立地の悪い店舗を選ばれる方もいますが、これも一つの選択です。 空き物件の目立つショッピングセンターでしたり、郊外の物件でしたら、比較的安価に借りられるだけでなく、店舗の傍に無数の駐車スペースが空いていたり、店舗の外の共有スペースもダイニングエリアとして無料で使用を認めてくれる場合があります。  一見さん相手ではなく、常連がピンポイントで来てくれるようなビジネスでしたら、このような物件は非常に賢い選択といえるでしょう。

飲食店の場合は営業許可の取得にあたって、水回りや排煙、厨房設備などの設置に初期費用と時間がかかりますので、居抜き物件を選ぶという選択肢もあります。  最終的には商業的な判断になりますが、迷ったら専門家に相談されてみるのも賢い選択です。

物件選びのチェックポイント

  1. 家賃は予算に見合っているか?
  2. 交通の便はいいか?
  3. 駐車場はニーズに合っているか?
  4. 将来、事業が拡大した際にも対応できる広さか?
  5. 扱う事業内容に立地がふさわしいか?
  6. 扱う事業内容が使用目的として認められているか?
  7. 土日休日も利用可能か?
  8. 携帯の電波が通じるか?
  9. 同じビルの他の入居者は、自分のビジネスにふさわしいか?
  10. お客さんに説明しやすい場所か?
  11. 自分の家から近いか?
  12. Landlordは良い人(法人)か?
  13. 何か問題が起きた時に対応してくれる不動産エージェントの対応はしっかりしているか?
  14. ディスカウントやレントフリーは相場に見合っているか?

気になる物件を見つけたら

オフィスや店舗などを借りる際にはリース契約書の締結が必要になります。 オーストラリアのRetail shopではリース契約を結ぶ際に弁護士が付いていない場合には契約自体が無効になる場合があります。 ですから、ランドロード(貸主)とテナントの両者其々に弁護士が付いている状態でリース契約の交渉及び締結を行うのが一般的です。  

オーストラリアでは日本とは明らかに異なる商慣習やシステムが多くあり、特に始めてリース契約を結ばれる方の場合は知らないが為に不利な条件で話が進んでしまうという場合があります。 以下のQ&Aでは、私がよく聞かれる質問について解説していきたいと思います。

Q1. Security Bond(Security Deposit)ってなんですか?

Security Bondとは補償金や預託金・敷金のことで、オフィスや店舗を借りる際に毎月の家賃の他に必要となるものです。 万が一、賃料が支払われなかった場合でもランドロードが確実に賃料をSecurity Bondから確保することができ、また退去時の原状回復を行う場合の費用として利用されます。 オフィスや店舗であれば、入居時に3~6月分程度の家賃をSecurity Bondとして求められることが一般的ですが、この金額は入居しようとする物件やリース契約期間、保証人の資産状況などにより異なります。 

Q2. Bank Guaranteeってなんですか?

前述のSecurity Bondですが、退去時には預けている金額から原状回復費用などを差し引いて、返却されるのが通常です。 しかし、退去時にSecurity Bondが必ず返却されるかというと、その保証はなく、難癖を付けて返金されない可能性は否定できません。 そこで、オーストラリアのリース契約では、Security Bondを現金でLandlordに預けるのではなく、銀行に預けてSecurity Bondの支払いを銀行に保証してもらうBank Guaranteeを発行してもらい、万が一、テナントが支払いを履行しなかった場合には保証した銀行がその支払いを代弁すると言うシステムがあります。 Bank Guaranteeを設定することにより、当事者双方の同意がなければSecurity Bondは引き出すことができなくなりますので、退去時のプロセスがスムーズになりますし、その間の利子はテナントが受け取ることができます。

必ずしもキャッシュをランドロードに預けるという方法にメリットが無い訳ではないのですが、これはケースバイケースですので、もしどちらが良いのか悩む場合は弁護士に確認しましょう。

Q3.家賃の他に発生する共益費って何のことですか?

家賃とは文字通り、毎月かかる部屋の賃料のことです。それに付随する共益費には、電気・ガス・水道といった光熱費が含まれている場合もありますし、清掃費用などが入る場合もあります。 物件によりまちまちなので何の費用が含まれるのかを確認したほうが良いでしょう。   築年数が古いビルの場合、家賃は安くても共益費が高いということもあります。 契約を結ぶ際には毎月の支出はトータルでいくらなのかを把握するようにしましょう。

Q4. Key Moneyって何ですか? Landlord側の弁護士費用も支払わなければいけないのですか?

Key Moneyというのは、鍵の明け渡し代金のことで、すなわち日本でいう礼金のようなものです。  このような実態のない支払い代金については、オーストラリアのRetail Shopに関する法律で全面的に禁止されています。 また、Landlord側のリース契約書作成費用をテナント側に負担させる取り決めもRetail Shopに関する法律で禁止されていますので、もしリース契約書に書いてあったしても無効ですから、どのように話を進めるのが良いのか弁護士に相談しましょう。

Q5.リース契約におけるリース期間のオプションって何ですか?

これは最初のリース契約期間が終了した後に、さらに3年や5年など、1回もしくは数回リース契約を更新する権利(Options to renew=更新オプション権)のことをいいます。 このオプション権はテナントのために与えられる権利で、テナントがリース契約上の義務不履行でないなど、一定の条件(各リース契約によって異なります)を満たしていれば、物件所有者はテナントがこのオプション権を行使した場合、最初のリース契約期間が終了した後、テナントにリース契約の更新を承認する必要があります。  ただし、オプション権が与えられていても、更新は自動的には起こらず、オプション権をリース契約の条件(各リース契約によって異なりますが、通常は契約終了日前3カ月~6か月の間に書面通知で行う必要があります)に従い、適切に行使する必要があるということに注意しなければなりません。

Q6.どれくらいのリース期間を結んだらいいでしょうか?

商業用リース契約におけるリース契約期間は、3年もしくは5年が一般的です。 とはいえ、どれくらいのリース期間を結ぶべきかは、ビジネスの状況やリース物件によって変わってくることが予想されますので、もし判断に悩むようでしたら、弁護士に相談されることをお勧めします。  

一般的には、長期のリース契約を結ばれるよりもオプションを上手く活用するのが賢い選択です。  もし初めてのビジネスで5年のリース契約を考えているのであれば、最初のリース契約を2年+オプション3年という形にして、もしビジネスが上手くいかなかった時には2年で終了して、ビジネスが軌道に乗った場合には3年のオプションを行使して5年間のリース契約にするということです。 最初から長期のリース契約を結ばれるということでしたら、相手の言い値で話を進めるようなことはせず、レントフリー期間や内装設備をLandlord側に負担してもらうなどの交渉が可能かどうか、弁護士に相談されることをお勧めします。 

Q7.リース契約の中途解約って出来ますか?

オーストラリアのリース契約では、日本のように「3か月」や「6か月」の事前通知で解約することはできないのが一般的です。 もし5年のリース期間を結ばれている場合でしたら、最大で5年間の家賃の支払い義務が発生するということです。 もちろん、ビジネス売却などにより、第三者がリース契約を引き継いでくれる場合は支払いが免除されることになりますが、そうでない場合はテナントに支払い義務が発生し、テナントが支払えない場合には保証人に対して請求が行われる事になりますので、リース契約を結ばれる前に弁護士に相談してリスクヘッジされることをお勧めします。

Q8. 弁護士に相談するタイミング

これまでに数多くのリース契約の交渉をしてきたランドロードと普通のテナントの間には大きな知識と経験の差があるのは当然のことです。  それこそ、悪いランドロードでしたら「鴨が葱を背負ってきた」とばかりに、良い人のふりをして、自分に都合の良い条件を押し付けている可能性も拭えません。

オーストラリアではテナントが不当に不利益を被ることのないようRetail Shopのリース契約に関する法律が整備されており、法律でリース契約のフレームワークや救済措置が設定されています。 とはいえ、後になって騙されていたり・丸め込まれていたことに気付いたとしても、具体的に話が進んでいたり、手付金を支払った後では取り返すのが大変になりますので、早い段階で弁護士が付けるのが賢い方法でしょう。 これまでに何件もリース契約をされているテナントさんでしたら、通常は弁護士と上手く連携を取りながら話を進められるのがオーストラリアでは一般的な進め方です。

Q9. リース契約に関する弁護士の選び方

リース契約は弁護士業務の中では比較的単純作業といえ、担当する弁護士の能力に拠って大きく結果が変ってくる場合があります。 中には、弁護士の資格を持っていることに胡坐をかいて、ただ右から左に書類を回すだけの弁護士が居ないとも限りません。 いざとなった時に裁判で戦うことの出来る弁護士なのか、それとも一般法務しか出来ない弁護士なのか、前者の弁護士でしたら過去の経験から抑えるべきところやリスクヘッジの引き出しも多く持っていますので、色々な状況を想定して対応することができます。 ですから、もし問題が起きた時に一貫して裁判まで対応できる弁護士を探されるのが賢い選択です。

当オフィスではオーストラリアでビジネスを展開するにあたってのサポート全般を承っており、リース契約の他にも、弁護士が以下の点についてサポートを行っております。

  • 会社設立
  • 雇用契約書作成・労務問題
  • ビジネス売買
  • 各種交渉
  • 債権回収
  • 訴訟
  • 顧問契約
  • 取締役業務代行

お困りでしたら、先ずはご相談いただければと思います。 

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