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オーストラリアの飲酒検問って任意ですか?

目次

Random Breath Test(飲酒検問)を拒否することは可能?

オーストラリアの飲酒検査って任意なのですか?

オーストラリアの法律では車内や運転手から酒の匂いがする場合など『酒気帯び運転のおそれがあるとき』を除き、警察官は何の理由もなく、運転手に対してBreath Test*を強制させることはできません。  しかしながら、Random Breath Testは『一斉取り締まりの飲酒検問』であり、これは所謂、強制捜査ですから拒否する事はできません。  

*Breath Testとは、飲酒して消化管から吸収されたアルコールが血中に移行した状態の濃度についての測定を呼気から行い、運転手の血中アルコール濃度が飲酒運転に該当するのかを判定する検査の事をいいます。

Random Breath Test(飲酒検問)の手順と流れ

飲酒検問で警察官から誘導があった場合、警察官の指示に従って、速やかに車輛を停止しなければなりません。  この指示に従わないで走り去ると警察官に追跡されてしまうばかりか、6000ドル以下の罰金が科せられることがあります。  警察官の指示に従って車輛を指定の場所に停止した後、警察官は運転手に名前と住所を訊ねたり、運転免許証の提示を求めてくる場合があり、これらの質問に対して運転手は正しく応える必要があります。 これらの質問や要請が行われずに、そのまま呼気検査に移行する場合もありますが、この呼気検査で血中アルコール濃度が0.05%(クィーンズランド州の場合)以上の反応を示した場合、より精度の高い機械を使用しての再検査が行われます。  この再検査は最寄りの警察署か “Booze Bus” と呼ばれる飲酒検査用の特殊バスで行われる場合が一般的です。 この検査場への移動に応じない場合、警察官はTransport Operations (Road Use Management) Act 1995の80条5項の規定に基づいて、必要となる手段を用いて運転手を強制的に連行する事ができます。  また、警察官は車内に同席していた人間が車輛を停める前に運転していた疑いがあるような場合には同乗者に対しても呼気検査を要請する事ができます。

Random Breath Test(飲酒検問)を拒否した場合の罰則規定

前述した通り、飲酒検問における呼気検査は任意ではありませんから、拒否する事はできません。 法律ではTransport Operations (Road Use Management) Act 1995の80条5A項にて呼気の提出が義務付けられており、被疑者が呼気の提出を拒む場合、実際に飲酒していたかどうかに関係なく、飲酒運転をしていた場合よりも高い処罰の課せられる深刻な犯罪として取り扱われます。 当たり前の話ですが、飲酒運転で逮捕されるのを回避する目的で飲酒検査を頑なに拒否した人達が得をするのであれば、そのような考えを持った人達が得をして、正直者が損をしてしまうからです。  呼気を提出しない場合の罪状は “路上で検査に応じない場合” と “警察署やBooze Busにおいて再検査に応じない場合”の2種類があり、飲酒運転の疑いで拘束されている後者の拒否にはより重い罪が適用されます。  

呼気検査を拒否した場合の罰則規定

クィーンズランド州で呼気検査を拒否した場合、その場で運転者の免許は停止されることになり、また、血中アルコール濃度0.15%以上で車輛を運転していた場合と同等のペナルティが課せられます。  言い方を変えると、最低6か月間の免許停止、4000ドルの罰金、または、6か月間の懲役刑が課せられるという事です。 私の経験上、懲役刑が言い渡されるケースは車両の接触事故が起きている場合や悪質な事案が多いです。

呼気検査を拒否するにあたっての正当な理由

法律で呼気検査を拒否する事の出来る条項は定められており、Transport Operations (Road Use Management) Act 1995の80条5B項において呼気検査を拒否するにあたっての正当な理由が規定されています。  しかしながら、これらの殆どは医療上の理由でしか認められておらず、一例として、検査に必要な量の呼気を排出する事が身体に深刻な健康被害を及ぼす可能性がある旨の診断書が発行されている場合などに限定されます。  むしろ、普通に息を吐きだせないような病人が車を運転していること自体考えにくいですから、これらの特例は有って無いようなものでしょう。

結論として、これらのことから飲酒検知を拒否することは、賢い選択とは言い難いところです。  正当な理由を説明せずに断ったり、その場を離れようとするのは捜査対象を広げるだけです。 もちろん、違法性が確認されなければ直ぐに解放されるでしょうし、応じられない正当な理由がないようなら隠す必要もないわけですから、素直に従って身の潔白を証明するのが賢い選択です。

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