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弁護士が教える揉めない遺言書の作成・相続手続きについて

いきなり恥をさらけ出すようで恥ずかしいですが、自分の両親は父方・母方ともに遺産相続で兄弟と揉めており、交流が無くなってしまいましたので、自分も従兄弟とは疎遠になっています。  この歳になってみると、血縁関係者が限定的な事もあり、小さい頃は盆や正月に一族全員が祖父の家に集まって交流できたことを懐かしく思うばかりです。  今はそういう時代ではないのかもしれませんが、自分の子供に同じような経験をさせてあげれないと思うと少し悲しく思います。  

閑話休題
「相続手続きで揉めてしまった。 遺言があれば……」。 よく聞く言葉ですが、本当に遺言書があれば、全く問題は起きないものでしょうか。 いやいや、そんなことはありません。 遺言書があっても、揉めたり、わだかまりが残ったりすることはあります。

まず、2人の子供が30万ドルの貯金を平等に相続するなら、分かりやすく揉めることもないでしょう。 しかし、現実には分割できない資産を含む財産を相続するケースが多く、個々の相続人が別々の財産をもらう方法がよく取られます。 このようなケース(とくに不動産を含む相続財産)では事前に相続人が対策をしておくことで問題を未然に防ぐことができます。  

その一方、やはり揉めやすいのは、平等でない遺言の場合です。  ですが、私が弁護士として見てきた中で、お勧めしたい【揉めない為の相続対策】があります。 色々と考えた結果、やはり問題が起きないのが一番ですから、全員の方に検討して欲しいと思い、本ブログで公開することにしました。  

それは簡単な事で、【相続対象者全員を一堂に集めた上で、遺言内容を生前に伝えてしまう】ということです。   

ごく稀に日本の年配の方の中には、「長男が全ての財産を貰える」と勘違いされているケースがあります。  ご本人には悪気がない場合が殆どですから、大抵の場合、直に父親(母親)から遺言を聞かされていれば、自然と納得するものです。   また、【何故、そのような相続を希望するのか】理由を併せて伝えてしまうのが良いと思います。  それでも納得いかないようなケースでしたら、死後に遺言書の内容を聞かされて揉める事は安易に予見(想像)できるでしょう。  

実際に私が対応したケースとして、病院で寝たきりになった方から遺言書の作成をご依頼いただいたことがあります。  その方は90歳を超える高齢にも拘わらず、意識はしっかりとして、正常に判断ができる方でしたので、私も快く引き受けさせていただきました。  その上で、死期が近いという事もあり、日本から子供達が来豪して、私も遺言書の内容の公開に立ち会わせていただきました。 

その際のやり取りですが、まず、ご本人様から、私が遺言書の作成を依頼を受けている弁護士であることを説明して貰い、全員が揃っている場で遺言内容を私から説明し、この遺言内容が適法である旨の説明をさせていただきました。  

簡単なことですが、これだけです。  

上記のケースでは、何故、そのような遺言にしたいのか理由がありましたので、全員にお伝えした上で、ご本人様から相続で揉めないよう締めくくっていただきました。  このような形で遺言を遺しておくと、心情的にも納得できるでしょうし、法的に揉められる要素を払拭する事ができます。  当オフィスではメールや電話対応以外にも、仕事柄、日本にも頻繁に帰国(2017年度は現11月4日時点で8回帰国)しておりますので、必要に応じて、ご自宅や病院への出張サービスも承っております。   オーストラリアの遺言・相続問題、その他、なにか困った事があれば、お気軽に日本語でご相談いただければと思います。   

 


以上、5回に亘って、オーストラリアの遺言について、私が2004年~2017年の間に執筆していたコラム(日豪プレス、リビング・イン・ケアンズ)とブログ上の法律コラムを完成版として再編集させていただきましたが、少しでも皆様の利益と公益に繋がればと思います。 

2017年11月4日
オーストラリア国弁護士・神林佳吾

なお、遺言について過去のコラムはこちらをご参照ください。

遺言その1: オーストラリアの遺言書について
遺言その2: オーストラリアの遺言書を執行する際に良くあるQ&A
遺言その3: オーストラリアに資産をお持ちの場合:相続・遺言書作成について
遺言その4: Enduring Power of Attorney – 成年後見制度(成年後見人)の任命について

相続その1: オーストラリアの相続手続きについて
相続その2: オーストラリアのProbate(検認手続き)について

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