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弁護士が教えるCertified Copy(認証コピー・原本証明コピー)について

目次

Certified Copy(認証コピー・原本証明コピー)について

Q. Certified Copy(認証コピー・原本証明コピー)ってなんですか?

A.  Certified Copy(認証コピー)とは特定の資格のある人物が書類の原本とそのコピーの内容が同じ物であることを確認した上でコピーを認証(原本と相違ない旨の確認と署名)することで作成された文章のことを言います。  平たく言えば、 “原本と同じ内容のコピーである事” が有資格者によって認証されているコピーをCertified Copy(認証コピー)といいます。  

サンプルは下記を参照ください。 (カラーの物を原本として、コピーに認証が入ったものが”認証コピー”となります)

 

Q. どうしてCertified Copy(認証コピー・原本証明コピー)が用いられるのですか?

A. 政府による見解はネット上で公表されていないようですので、私の理解となりますが、個人が勝手にコピーした書類は内容を改竄(例えば、スキャナーでスキャンしてフォトショップで加工)されている可能性があり、受け取った書面が本物のコピーかどうか真贋を確かめる術がないものです。 とはいえ、確認の為にパスポートや免許証などの現物を郵送するとなると、不必要に多大なリスクや懸念が伴うものです。 また、オーストラリアは国土が広大であるため、地域や種類によっては、該当の窓口が遠く直接行くのが困難だったりします。 そこで、有資格者によって原本の内容を照らし合わせて認証されているCertified Copyが謄本として用いられることで郵送での申請を認めているのだと思われます。

Q. Certified Copy(認証コピー・原本証明コピー)が用いられる書類とメリットを教えてください。

具体的な例として、パスポートや免許証などといった身分証明書でしたり、成績証や資格・免許などといった再発行が難しい書類を提出する必要がある際に認証コピーが頻繁に用いられます。  認証コピーは通常のコピーを有資格者に認証してもらっているだけですから、仮に紛失や破損しても容易に再発行することができますし、提出したものを返還してもらう必要がない為、二度手間になることもないといったメリットがあります。

Q. Certified Copy(認証コピー・原本証明コピーを作成する事のできる資格者を教えてください。

A. オーストラリアの国家資格を有した弁護士、その他にJ.P(Justice of the Peace) や Declaration of Commissionerといった有資格者が認証コピーの作成を行う事ができます。 ただ、Certified Copyを貰うためだけの目的で弁護士事務所にアポイントを入れるのは一般的ではありませんので、ショッピングセンターなど公共の場でボランティアされているJ.P(Justice of the Peace)に Certified Copy(認証コピー)を作成してもらう方が殆どです。

Q. 薬局でCertified Copy(認証コピー・原本証明コピーを作成できると聞きましたが、本当ですか?

A. その薬局にJ.P(Justice of the Peace)の資格保有者がいれば、Certified Copy(認証コピー・原本証明コピー)を作成することは可能だと思います。  また、書類の提出先機関によっては、Certified Copy(認証コピー・原本証明コピー)を作成することが可能な有資格者に特例が設けられている場合があります。 例えば、ATO (Australian Taxation Office、オーストラリア税務局)に認証コピーを提出する場合でしたら、前述の有資格者に加えて以下の有資格者が認証コピーを作成することができます。

  •  医師
  •  警察官
  •  累計5年以上勤務している銀行職員
  •  Minister of Religion (Celebrant)

少し特殊なのはオーストラリア移民局です。 近年では、申請書類をスキャンしてから移民局のデータベース上にアップロードするようになっていますので、Certified Copy(認証コピー・原本証明コピー)を提出する場合は少し特殊なのですが、Form 1195といった書類を作成するにあたり、前述のATO (Australian Taxation Office)に認証コピーを提出する場合に作成できる有資格者に加え、以下の有資格者を含める方達も認証コピーを作成することができます。

  • 裁判所事務官
  • 公認会計士
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 教員
  • 累計5年以上勤務している郵便局職員
  • その他、多数

従って、移民局に提出する書類であれば、薬局にJ.P(Justice of the Peace)の資格保有者がいない場合であっても、薬剤師さんにCertified Copy(認証コピー・原本証明コピー)を作成してもらうことは可能だと思います。 ただし、移民局に提出するForm 1195の作成は申請者の事を1年以上知っている方が行う必要があり、また、証明写真に裏書きを認証者が行う必要があるなど、特殊な条件が設定されておりますので、詳しくはRegistered Migration Agent (移民法書士)に確認されてください。

Q. どこにいけばCertified Copy(認証コピー・原本証明コピー)を作ることができますか? また、費用はいくらですか?

A. オーストラリア国内の場合でしたら、弁護士事務所や裁判所にいけば、ほぼ間違いなく認証コピーを作成する事が出来るでしょう。 認証に掛かる時間は1枚につき、30秒から1分程度でしょうか。  どこの法律事務所でもクライアントからの依頼であれば快く無償にて対応してくれると思います。  (少なくとも私は認証コピーで料金を取った事はありませんが、通常はDeclaration of Commissioner や Justice of the Peaceといった資格を持つ事務員が対応します。)

もし、お付き合いのある弁護士が居なかったり、近場に裁判所が無い場合には、ご自身の口座を開設している銀行で相談してみるのも一つの手段です。  また、大きなショッピングセンターでは “J.P on Duty” というセクションが設けられており、週に数回(各数時間)ボランティアのJ.Pが常駐しています。  政府のウェブサイトにて“J.P on Duty”の場所・時間帯などを確認することができますので、対応時間や条件などを確認してから来訪するのがいいでしょう。 なお、J.Pは基本的にボランティアのサービスとなっていますので、コピー機などが設けられていない場合も多く、J.Pにコピーの認証をお願いする場合は身分証明書と原本、そして、原本のコピーを用意の上で持参する必要があります。 

Q.  日本ではどこでCertified Copy(認証コピー・原本証明コピーを作成する事が出来るのでしょうか?

A. 日本には認証コピーというシステムが存在せず、その概念自体がありません。   ですから、東京にお住まいの方であれば、オーストラリア大使館に足を運ばれるのが一番確実といえます。  2019年4月現在、認証コピーの作成費用は書類一式(またはその一部分の写しの確認、認証コピー)につき5800円(レート等により変動します)、詳細や予約などについては大使館の領事部に問い合わせてください。

オーストラリア大使館から遠方にお住まいの方の場合、公証人役場に赴かれて相談されてみるのも一つの手段です。  とはいえ、実際に公証人役場に赴いて “認証コピー” を依頼しても、なかなか話が通じなかったりする場合が多いものです。  良くある例としては、翻訳が必要なのか、認証文は日本語で良いのか、認証文には何を書けば良いのかなどなど、日本の公証人からしてみれば、オーストラリアの認証コピー自体を見た事がなく、戸惑ってしまうのが実情のようです。

私の経験上、日本の公証人が作成した認証コピーは統一ガイドラインがないせいか、書類によっては割り印があったり、別紙確認証があったりと、できあがる書面の幅にかなりのバラツキがあります。  良く言えば、個性豊か、実際問題としては、オーストラリアの認証コピーの要件を満たしていない場合もありますから、オーストラリア側の事情を良く把握している行政書士の先生に間に入ってもらうのがベターでしょう。  

Q. Certified Copy(認証コピー)は簡単に取得できると聞いたのですが、、、

A.  オーストラリア国内では、どこの地域でも、大きな費用と労力を掛けず、簡単に認証コピーを作成する事が出来ます。 オーストラリア人の感覚からしてみると、Certified Copy(認証コピー)の作成や取得は何て事のないプロセスですから、日本でも同様に取得出来ると考えてしまう方達が多いのも事実です。  実際に日本で認証コピーを取得した事のある方ならご理解いただけると思いますが、日本でCertified Copy(認証コピー)を取得するには、オーストラリアで取得する場合とは桁外れの時間や労力が掛かってしまうのが実情です。   

認証コピーという名称について

認証コピーという単語は造語です。  私が2004年時にブログでインターネット上でCertified Copyに関する記事を上げた際に該当する日本語が見当たらなかったので、解りやすい単語として「認証コピー」という単語を作ったのですが、それが自然と定着したように思います。  実際には、“謄本” や “認証済み謄本” といった単語の方が適切だと思いますが、オーストラリア大使館の日本語のページでは原本証明コピーと表記されています。  どれもCertified Copyのことですので、個人的には使いやすい単語を使えばいいと思います。

 

本記事は2004年5月にオーストラリア最大邦字紙・日豪プレスの法律コラムに掲載したものを2019年4月26日に修正の上で再掲載しました。

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