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オーストラリアにおける臓器提供と献体
提供できる臓器
オーストラリアでは、死後、あなたの臓器や皮膚や眼などの人体組織を必要としている病人に提供することができます。 現行の法律では、あなたが望む場合に限り、オーストラリアの医療機関では次の臓器・組織を提供することができます。
・ 臓器:腎臓、心臓、肺、肝臓、およびすい臓
・ 組織:心臓弁、骨組織、皮膚、眼、およびすい臓の組織
臓器提供の流れ
臓器提供者は生前に臓器提供の意思を表示しておく必要があり、Australian Organ Donor Registerという政府機関にて臓器提供の意思を登録しておくことができます。 ここで重要なのは、臓器・組織提供を行う状況が発生した場合、提供者の家族にも臓器・組織提供を続行するための同意が求められますので、家族にも意思を伝えておかなければりません。
あなたの死後、臓器提供は速やかに実施され、提供者の身体は常に尊厳と尊敬をもって扱われ、臓器・組織を提供したことで身体の外見が変わることはありません。 臓器提供を行えるかどうかは、脳死などの人体が破損していない状態で死後間もなく手術が行えるかどうかであったりと特定の条件が揃っている必要がありますので必ずしも臓器提供が行われる訳ではありませんが、他の人に命を提供することは、病人の命を救ったり、その方の人生を大きく変える事になり、生涯最高の贈り物となります。
献体について
臓器提供とは異なりますが、献体といって、自分の死後、遺体を医学の教育と研究のために役立ててもらいたい場合には、事前に大学などの機関に意思を伝えて登録しておくことができます。 ここで提供された遺体は医学生や医師の研修などに利用され、医学の発展や優秀な医師の育成に役立てられます。 臓器提供が行われた場合には献体を行う事は出来ませんが、臓器提供のように特定の条件が揃っていなくても、献体は故人の遺志が比較的尊重されやすいのが特徴です。 遺言状に献体の意思を認めておくことも出来ますが、大学や病院などに拠っては事前に献体の意思を登録しておかないと受け入れてくれない場合がありますので、献体を希望される場合には事前に提供を希望する大学や病院などに確認しておいた方が良いでしょう。
臓器提供と献体についての注意点
原則として、オーストラリアにおける臓器提供と献体のどちらも無報酬・無条件で行われます。 また、前述の通り、提供者の家族にも臓器・組織提供を続行するための同意が求められますので、家族にも意思を伝えておかなければりません。 オーストラリアの運転免許証発行の際にDonor項目にチェックを行っているだけでは臓器提供と献体は行われませんので、あなたの意思を各機関に登録していなければなりません。 なお、献体が行われた場合には医療機関側で火葬が行われ、遺灰以外は家族に返されない場合が一般的ですので、葬式などを希望される場合には注意が必要です。