毎年、クリスマスから年末年始の時期になると、私の事務所では飲酒運転と離婚についての依頼が急に増えます。 季節柄ということもあり、こういった相談が急に増える理由は想像に難くないところですが、今回は弁護士からみた飲酒運転について書いてみたいと思います。
目次
飲酒運転 - 飲酒した際に車で休む行為も危険!?
まず、飲酒運転とは“アルコールの影響がある状態”で車輌等を操作する行為を指します。 ですから、事故を起こさなくても、アルコールの影響がある状態で車を運転するだけで処罰の対象となりますし、仮に酔ってしまったので「今晩は車内で寝よう」と思ってエアコンを付ける際に車のエンジンを掛けた場合も処罰の対象になります。 要は、酔った状態で車のエンジンを操作してはいけないという事です。
また、私有地であれば捕まることはないかというと、そうではありません。 それが認められてしまうと、酔っぱらって悪ふざけでバイクや車で遊んでしまう人もいるでしょう。 実際に、酔った時に私有地を運転をしていた時に怪我をして救急車で運ばれた際に飲酒で捕まった事例もあります。
少しぐらいなら飲酒にならない!?
オーストラリアにお住まいの方達の中にはビール1~2本ぐらいなら大丈夫と認識されていらっしゃる方も少なくないものですが、クィーンズランド州におけるアルコールの影響がある状態とはオープンライセンス保有者の方の場合で血中アルコール濃度値(BAC)が0.05%以上の状態を指します。 アルコールに強い体質の方の中には “ビール2本までなら大丈夫” と認識されている方も偶に見かけますが、BACは性別や体重だけではなく、アルコール消費時の健康状態であったり、肝臓機能の優劣など個体差で大きく変わってくるものですから注意が必要です。 なお、オープンライセンス以外の方はBACが0.01%以上で飲酒運転となり、一切の飲酒は認められていませんので、注意が必要です。
捕まったらどうなる - 飲酒の罰金は?
クィーンズランド州では飲酒運転で捕まった場合、その場で24時間の免許停止が言い渡され、後日、処罰を受ける為に裁判所に出廷しなければならなくなります。 原則として、免許停止か免許取消のいずれか、その他に罰金刑や懲役刑を科せられるのが一般的です。 捕まった時のBACや過去の違反歴などにも拠りますが、初犯でBACが低ければ刑法上の規定は免許停止が最大12か月、罰金は最大3,187.80ドル、懲役は9か月以下となっています。
もし血中アルコール濃度値(BAC)が0.15%以上を超えている場合、その場合は罰金や懲役刑だけで済むことはなく、免許停止期間が終わった後から最低12ヶ月間はAlcohol ignition interlocks(運転時に呼吸からアルコールが検知されるとエンジンが掛からなくなるシステム)を車に設置しなければならなくなります。 当然ながら、Alcohol ignition interlocksの設置に際しては相応の時間と費用が掛かりますし、講習やメンテナンスなどに本来は必要のない時間や労力を要するものです。
飲んだら車を運転しないのが最善なのは間違いありませんが、くれぐれも取り返しの付かない事故などを起こさぬよう心がけ、良い年末年始をお過ごしください。