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オーストラリアの相続手続きについて

オーストラリアで弁護士をしていますと、日本人の方でオーストラリアに資産を残している方が亡くなった場合の取扱いについて質問や依頼を受けることがあります。 そこで、今回はオーストラリア相続手続きにおいて日本人の方にありがちな注意点を簡単に纏めてみたいと思います。

遺言状の必要性:オーストラリアに資産をお持ちの場合

日本に居住されている方は見落とされている場合が多いものですが、オーストラリアに資産をお持ちの方が亡くなられた場合にはオーストラリア国内の法律に従った遺言相続手続きが必要になります。  例えば、亡くなられた方の不動産名義を変更したり、故人の定期預金を解約したり、銀行口座を閉設する場合、銀行側は親族という事実関係だけで手続きを認めておらず、オーストラリアの法律で認定されているExecutor(遺言執行人=通常は遺言状にて指定)に一連の手続きを行うよう求められます。

従って、オーストラリア国内に不動産や銀行口座をお持ちの方は日本で作成される遺言状とは別にオーストラリアで有効な遺言状を作成されておいた方がいいでしょう。  
詳しくは、法律コラム: ”オーストラリアの遺言書について” で解説しておりますので、ご参照ください。

オーストラリアの相続手続き

遺言書がある場合と遺言書が無い場合の流れ

オーストラリアの相続手続は大きく分けて、Grant of Probate(遺言書の存在している場合)とLetters of Administration(相続書が存在していない場合)のいずれかの検認手続きを経て行われる形となります。 Grant of Probateでは遺言書で故人が指定したExecutor(遺言執行人)が遺言状に基づいて遺産を分配し、Letters of Administrationでは最近親の方がAdministrator(遺産管財人)として遺産分配を法律に従って行います。 

これらの検認手続きでは遺産が所在している地域の司法管轄権を有する高等裁判所に申請を行います。  そして、裁判所に拠って相続手続きにおける阻害事項がないこと、申立人が相続手続きを行う権限を有している旨の承認(Seal)が行われます。 

クィーンズランド州高等裁判所に前述の申し立てを行う場合はUniform Civil Procedure Rules 1999 (民事訴訟法)が定める前提条件をクリアしている必要があります。  具体的には、1. 被相続人が亡くなられたことの告知、2.遺言状の存在、または、Intestate(故人が遺言状を残していなかった旨)の告知、3.申し立て人が検認手続きを裁判所に申し立てる旨の告知、そして、4. 申し立て人の選出について異議申し立てを受け付ける旨の告知、これらの内容を含む告知を州内全域に流通する新聞、並びに官報紙に掲載した上でPublic Trustee (公認受託者)に該当の記事を送付し、そこから最低14日間が経過した時点でクィーンズランド州高等裁判所に検認手続きの申し立てを行う形となります。  

簡単にいえば、検認手続きをされた申請者の方が故人の方の相続手続きを行う権限を有していることを裁判所がお墨付きを与えるプロセスとなります。 裁判所が発行する証書(以下、サンプル画像参照)を元に不動産名義を変更したり、銀行口座の閉設や払い戻し、株式の名義変更などが行える形となります。 

遺言書がないと財産が没収!?

最近は随分と減りましたが、日本の方から「オーストラリアでは遺言書が無いと財産が政府に没収されるのですか?」という質問を受けることがあります。 これはよく聞かれたので、どこから出たうわさなのかなと聞かれるたびにいつも思っていましたが、オーストラリアも日本と同様で遺言状が無くても相続の手続きを行うことは認められています。  ただ、遺言状が無い場合は相続に際して必要な手続きが増えますし、遺族間のトラブルの元になりますので、遺言状を作っておいたほうが良いに越したことはありません。  なお、政府が税金の一部として接収する可能性のある相続財産は受け取り人がいない(例:配偶者や子供、親や兄弟など親族がいない)ようなケースに限定されます。 

なお、オーストラリアのProbate(検認手続き)について知りたい方は、法律コラム: ”オーストラリアのProbate(検認手続き)について” で解説しておりますので、ご参照ください。

 

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  1. オーストラリアのProbate(検認手続き)について 
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