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オーストラリアの不動産所有権・共有名義について

目次

不動産の共有名義について

オーストラリアで不動産を所有する際には日本にはない合有所有権(Joint Tenancy:ジョイント テナンシー)という制度が存在します。 これをTenancy in commonと混同される方が多く見受けられますが、どちらの形態も不動産を共有で所有する点に変わりはないものの、大きく異なる点がいくつかありますので、今回のコラムではこれらの違いを解説したいと思います。    

Tenancy in Common (テナンシー・イン・コモン)
複数で不動産を所有しますが、所有権の割合は合計が100%になればどのような持ち分でも問題ありません。 もし所有者の一人が亡くなった場合、その所有権は遺言書で指定された相続人に譲られる形となります。

Joint Tenancy (ジョイント・テナンシー)
Joint Tenancyは2人以上の個人(誰とでも可)が不動産を所有する形態で、各所有者はそれぞれ所有権を等分に持ちます。  Right of Survivorship(生存者取得権)があるのが特徴で、所有者が亡くなった場合、その持分は均等に生存している他の所有者のものになります。  例えば、ご夫婦で不動産をジョイント・テナンシーとして登録していてて、ご夫婦のどちらかが亡くなられた場合、すべての所有権は残された夫(または妻)のものになります。  このようにジョイント・テナンシーの場合は誰に相続されるか検討する余地はなく、生き残っている方に所有権が移転するため、プロベート(検認)手続きは不要となります。  ただし、ご夫婦が事故などで同時に亡くなられた場合に備えて遺言書を作成しておくといいでしょう。

所有権保有のシナリオ例

ご夫婦の場合
トムさんとマリーさんご夫妻が不動産をJoint Tenancyで保有していたとします。 妻であるマリーさんが亡くなられた場合、トムさんはマリーさんのDeath Certificate(死亡証明書)を役場に提出する事で不動産名義をトムさん単独に書き換える事ができます。

付き合って間もないカップルの場合
ジョンさんとマーガレットさんは付き合って比較的間もないこともあり、また、ジョンさんの方が多く資産を持っていたため、不動産をTenancy in Commonでジョンさんが70%マーガレットさんが30%の権利を持つ形で購入したとします。  その数年後、ジョンさんは交通事故で亡くなってしまいました。  この場合、ジョンさんが所有していた不動産の権利はマーガレットさんに自動的に移動するのではなく、ジョンさんの遺言書によって権利が相続人に移転する形となります。

Blended Family (混合家族)の場合
ボブさんとスーさんは結婚して10年が経ちますが、其々が再婚という事で(成人した)連れ子がいたとします。  この場合、不動産をJoint TenancyではなくTenancy in Commonで50%ずつの権利を持つ形で購入していれば、亡くなった時には其々の遺言書に基づいて不動産を譲る事ができますので、自分と血の繋がった子供に残すということができるようになります。

どのような形で不動産を保有するべきなのか?

これはケースバイケースですから一概にはいえませんが、前述の例を参考にして、もし亡くなった時に不動産をどのように譲られたいのか検討されるのが宜しいかと思います。  その上で、上記のようなパターンに当て嵌まらない場合でしたり、また、どのようにしたら良いのか解らないような場合には専門家からアドバイスを受けられるといいでしょう。

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