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オーストラリアの弁護士の給料について

オーストラリアの弁護士・神林佳吾の公式HPはこちら → https://kklaw.com.au/

1ヶ月に10~20件の割合ですが、オーストラリアの弁護士の給与水準について検索して当サイトを訪れられる方がいます。  オーストラリアの法曹界に興味を持たれた方が調べられているのかもしれませんが、残念なことにインターネット上には該当する情報があまり無いようです。  そこで、私の経験則となりますが、オーストラリアの弁護士の給料の相場と傾向について解説しますので、今後のキャリア形成や進路選択などの参考にしていただければと思います。  

まず、世間では高所得を得ていると思われている職種の弁護士ですが、オーストラリアでは20代の頃からコンスタントに15万ドル以上の年収を稼いでいる弁護士がいる一方で、新人や若手を中心に仕事がなく、弁護士として生計を立てられないといった話も聞きますので、年収については、それぞれの弁護士により大きく異なるというのが実情でしょう。  詰まるところ、その弁護士の能力次第だと思いますが、私の個人的な意見を一言でいえば、“セレブな弁護士は一握りで、お金に困らない程度の生活をされている方が大多数” だと思います。  ただ、弁護士として登録したものの、数年で般企業や政府機関にキャリアチェンジをされるというケースも少なくなく、日本のように一生の資格として捉えている人は多くないのも特徴です。

オーストラリアの弁護士って儲かるの?

公的機関に拠って統計が公表されているわけではないので正確な数値は解りませんが、私の感覚として、年間に15万ドル以上の収入を得ている弁護士は全体の15~20%程度、10万ドル以上の収入を得ている弁護士でしたら全体の40~60%ぐらいになるのではないでしょうか。 とはいえ、弁護士として駆け出しの頃は仕事がないという話も良く聞きますので、弁護士としての適性が無い場合は早い時点で別のキャリアを選ばれるのではないかと思います。

訴訟に限らず、企業買収等で巨額の金額が動く案件に関わる弁護士の報酬は比例して大きくなるのは当然ですし、ある程度の規模の事務所のパートナー(経営者)であれば、自身で稼いだ弁護士報酬よりも法律事務所からの利益分配(配当)の方が大きな収入を占める場合が多くなると思いますし、経営者として20万ドルを超える年収を受け取っている方が殆どだと思います。  

しかしながら、実際に多額の収入を得ている弁護士は数の上では大手法律事務所を中心に極わずかであり、大多数の弁護士はそれなりに頭をなやませつつ、お金に困らない程度の生活をしているのが実態だと思います。  また、年収が9万ドルを超えると、そこからは超過した分の半分近くを税金で持っていかれますので、法律で認められている最大勤務時間である週37.5時間以上は働かない弁護士も少なくありません。  自分の周りでは、家族との時間を中心にプライベートとのワークバランスを大事にされる方が多いように思いますが、自宅で仕事をすることができたりと、割とフレクシブルな勤務体制も弁護士としての仕事の特徴です。

※2017年11月3日追記。  indeed という人材会社のサイトにて ”オーストラリアの弁護士の給料について掲載されていました。 このサイトによると、オーストラリアの弁護士の給料水準の平均値は9万3266ドルとのことです。  ただ、この数値は即戦力となる転職者向けの求人情報から算出されているためか、新人や若手の採用枠が入っていない数値のように見受けられる点にご留意ください。  また、年収15万ドルを超えるハイランクの採用枠は一般告知ではなく、同業者内でオファーされることが多く、通常は若手の時から勤めている法律事務所内で実績を積んで給料が上がっていくケースが殆どです。  

弁護士業界の特徴:給与に開きがある理由

弁護士業界の特色として、経験年数の少ない新人弁護士よりもベテラン、その分野に明るくない弁護士よりも経験豊かな弁護士に依頼が偏ってしまう傾向があります。  これは依頼者に弁護士との付き合いが無い場合が多く、また、医療のように弁護士費用は保険が効くものではありませんから、どうしても依頼者は慎重に弁護士を選ぶ傾向にあることに起因しています。  とはいえ、年配の弁護士になると平均収入が大きく減るのもオーストラリアの法曹界の特徴で、最新の機材やシステム等を使いこなせていない方達は新しい情報や知識のアップデートを怠っていることも多く、依頼者から敬遠される傾向にあります。  これはどの業界もそうですが、一線で活躍する実力者に依頼が集中します。

弁護士のキャリアと収入の目安

ロースクールと司法修習期間を終え、弁護士に任官してから弁護士数20名程度の中規模法律事務所で5年ほど弁護士としてのキャリアを順調に積み、自分の判断で依頼を回す事ができるようになれば年収8~10万ドル前後が一般的な給与水準になると思います。  週38時間の勤務時間を大きく超過せずに20代後半でこの水準の給与があれば、十分に豊かなライフスタイルを享受することができますので、決して悪くない数字だと思います。  ただ、世間で思われているイメージとは異なり、資格職という事で胡坐をかくことは出来ませんから、日々、研鑽を積んでいく必要がありますし、それなりにストレスの多い仕事です。  

オーストラリアで弁護士として生計をたてる場合 “好きな事をしたいのか” それとも “お金儲けがしたいのか” によって、方向性が大きく変わってきます。  まず、早ければ20代前半で弁護士になれますので弁護士の資格自体は比較的簡単ですが、業界の競争は激しく、自分のようにロースクール時代から独立するまでの期間を同じ事務所に勤める弁護士は珍しいケースです。  転職の理由は収入や待遇面を含めたキャリア・アップの為であったり、違う分野へのチャレンジであったり、独立や引っ越しなど理由は様々ですが、事務所との契約が更新されないといったケースも決して少なくありません。 

さて、 “お金儲けがしたいのか” という最初の話に戻りますが、お金や報酬というのは、能力と経験に伴って自然とついてくるものですが、医師や会計士等とは違って弁護士は離職率と経済格差が顕著な業界だと思います。  2003年時に私の母校であるクィーンズランド大学の法学部卒業生の中で弁護士資格を取得したのは半数程度、法律事務所に就職した卒業生は全体の20%程度でしょうか。  正直な所、同期たちの間で弁護士は人気のある就職先ではありませんでした。  私の同期達の殆どは官僚になったり、投資銀行や資源採掘企業などといったグローバル企業における仕事を選んでいます。  極端な話になりますが、仕事の拘束時間やストレス、労力・収入水準・安定性などを考えた場合、弁護士は余り割りに合う仕事ではないと思います。  世の中には、より高収入でコストパフォーマンスの高い仕事があるわけですから、経済的な理由であれば、弁護士を生涯の仕事として選ぶ必要はないと考える人が多いのではないでしょうか。  

私個人の意見として、自分の知識と経験を活用することでクライアントから感謝され、法の番人として自分が正しいと信じる事を行う事によって社会の役に立ち、結果として、自分の生計が成り立つ。  そして、仕事でありながら、常に新しい知識や経験を取り入れることのできる環境に身を置くことができ、日々、自分の成長を確かめる事ができるのが弁護士として最大のやりがいだと思っています。

弁護士の仕事について興味のある方は、”オーストラリア弁護士の仕事のやりがいについて” も併せて御覧ください。 

 

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