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Photoelectric Smoke Alarm (煙式火災報知器)の設置義務について

2011年にブリスベン南部の住宅街で起きた火災により、8人の子供を含む計11人が火災現場から逃げ遅れて死亡したという惨事が起きました。  現場検証の結果、その家に設置されていた火災報知器が二つとも複数年に亘って作動していなかった記録がなされた旨の事件報告を受け、今年、クィーンズランド州政府はFire and Emergency Services (Domestic Smoke Alarms) Amendment Act 2016を立案して議会で承認し、2007年7月1日より施工されていた居住用建物におけるSmoke
Alarm(火災報知器)の設置義務について大幅な法改正を行いました。  

これは、火災に拠る死亡の要因は「逃げ遅れ」が殆どであり、主に深夜の就寝時間帯に火災の発生に気が付かず、招いてしまった惨事と考えられており、少しでも早く火災の発生に気づくことができれば、救われた命だったかもしれないという点に起因します。 特に火災の恐ろしさは煙にあり、煙によって呼吸を妨げられるだけでなく、視界を奪われてしまい、結果、避難することが困難になってしまいます。 つまり、火災から命を守るには、初期段階の発見により、避難する時間を少しでも多く作ることが重要だといえます。 

今回の法改正に伴い、クィーンズランド州の居住物件では全ての寝室及び廊下にPhotoelectric(煙式)でinterconnected しているsmoke alarmの設置が義務付けられることになりました。  従来の火災報知器はIodised(熱式)の物が大半を占めており、これは火災による熱を感知するタイプの火災報知機なのですが、高温を察知しなければ作動せず、今回の法改正で義務付けられたPhotoelectric(煙式)は、火災の初期段階から発生する煙を検知しますので早期に被害の拡大を防ぐことが期待できます。  また、其々の火災報知器がinterconnectedしている事が義務付けられたことにより、一つの火災報知機が作動すると全ての火災報知機が連動して作動する事になりますので、仮に火災報知機の一つが動作しない場合でも火災に気付くことができますし、離れた部屋で起きた火事にも直ぐに気付くことができるようになります。

新しい法律の適用は2017年1月1日から開始され、10年以内に全ての居住用物件に適用されます。  具体的な法律の適用開始時期は以下の通りです。
- 2016年12月31日以降 – 全ての新築物件及び、大幅改修物件に設置が義務化
- 2021年12月31日以降 – 全ての売却物件、賃貸物件に設置が義務化
- 2026年12月31日以降 – その他の全ての居住物件に設置が義務化

また、2017年1月1日以降に設置されるSmoke Alarmは全てAustralian Standard 3786を満たしているPhotoelectric(煙式)のものが義務付けられます。 詳しくは、クィーンズランド州政府・Queensland Fire and Emergency Services (QFES) のウェブサイトをご参照ください。 https://www.qfes.qld.gov.au/

 

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