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弁護士が教えるUnclaimed Money (凍結・休眠・没収資金)と返還手続きの仕方

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見知らぬ業者からの手紙にご注意!

豪州政府が公開している情報を元に 凍結口座の返還手続き に関して手紙を送りつけている業者がいますが、あなたのお金が詐取されることがないよう気をつけてください。  

なお、Power of Attorney(委任状)を要求してくる業者もいます。  これらの書類はオーストラリアの国家資格者に立会人として本人確認をしてもらった上で作成する必要があるものですから、証人は誰でもいいというものではありません。  弁護士はオーストラリアの国家資格を有した登録者ですから、こういった立ち合いや認証コピーの作成を行う事が認められています。  同じように翻訳文もオーストラリア公認翻訳士としての国家資格を有する公平な第三者が作成して認証印があって初めて有効となります。  もっともらしい説明をされて、あなたの銀行口座の書類や個人情報を渡さないようにしてください。   普通に考えておかしいと思ったら他の方に相談されてみてください。 

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オーストラリアで弁護士をしていますと、せっかくオーストラリアに銀行口座を開設したのに口座を凍結させられてしまったという方からご相談をいただく事があります。 口座凍結の理由は多種多様ですが、主に以下の点が挙げられます。

  1. 口座における不正利用が疑われたため

これは主にインターネットバンキングやATMの使用時にパスワードの誤入力を連続して行った場合等が考えられます。

  1. 過去の取引履歴からみて怪しい取引が行なわれた場合

口座が不正にアクセスされている可能性がある場合、または、明らかに不自然な取引が行われているような場合、銀行は口座凍結を行う場合があります。 例えば、私が取り扱った事のある案件では、ネットバンキング上限額の引き出しを連日行った際に(銀行は口座が詐取されている可能性を疑い、口座主に電話したが連絡が付かなかったため)口座凍結を行う場合があります。

  1. 口座名義人の死亡・盗難届け、また、拾ったATMカードが銀行に届けられた場合
  2. 長期間に亘って、口座取引が行なわれていない場合

 

上記4についてですが、オーストラリアでは長期間全くお金の移動がないといった場合には、ATMカードや口座が利用できなくなり、不使用口座・休眠口座となり、口座へのアクセスが凍結される場合があります。  

口座の不使用が3年間が過ぎると、「Unclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)」となり、オーストラリア政府による預かり金となってしまいます。  これは金融機関による管理負担を緩和する目的としており、  何もせずに、放置していますと、最終的にはオーストラリア政府になるという事ではありません。  あくまでも、正式な所有者から返還手続きが行われるまで、そのお金を政府が預かっているということです。  そこでUnclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)に関して良くある内容をQ&Aにまとめてみたいと思います。

 

目次

オーストラリアのUnclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)の返還手続きについて

Q Unclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)ってなんですか?

A. オーストラリアのUnclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)は、長い間引き出しや預け入れなどの取引がされていない、”眠っている”銀行預金のことです。
最後にお金を出し入れした日や定期預金の最後の満期日(Roll Over・自動更新しない場合)から、一定期間以上の間、口座に動きが無く、また、預金者本人と連絡のつかないものをいいます。 

Unclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)になってしまう口座で多いのは、子供の頃や結婚前などに使っていた口座、亡くなった方の口座など、すなわち忘れ去られてしまった口座です。  日本人の方の場合、オーストラリア滞在中に開設した口座をそのままにして、日本に帰国後に存在を忘れてしまうケースが多いようです。

Q どのような資金がUnclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)になるのですか?

A. オーストラリアの金融機関では、長期間に亘って全くお金の移動がない口座をUnclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)扱いとして、口座にアクセスできないよう制限を設ける場合があります。  定期預金などは放置していても、ロールオーバーや自動更新されている限りはUnclaimed Moneyになる事はありませんが、普通預金口座などは3年間動きが無いと、銀行の判断によって、資金をオーストラリア政府に信託される場合があります。  

これは金融機関の管理コストの削減することを目的としていますので、預金者の権利が失われるわけではありません。  金融機関が定める所定の手続きを経た上で、また、口座の保有者であることの確認が取れれば、いつでも払い戻しが受けられます。

Q オーストラリアのUnclaimed Money はどうやって探せるのですか?

A. オーストラリア政府がUnclaimed Moneyとして預かっている預貯金などは、オーストラリア政府のサイトにて検索できるサイトがあります。 
このサイトの Unclaimed money search の下の箇所に名前から検索できるようになっていますので、お名前の姓か名のいずれかをアルファベットで入力する事で、オーストラリア政府が預かっている口座の名義、住所、金額を確認することができます。

参考URL: https://www.moneysmart.gov.au/tools-and-resources/find-unclaimed-money

Q どのような手続きがUnclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)の返還に必要とになるのでしょうか?

A. まず、銀行口座が凍結されてしまった場合、口座を復旧させるためには、銀行が定める条件を満たさなければなりません。  私が過去に対応した事のある金融機関は以下の通りです。

–      ANZ銀行
–      HSBC銀行
–      ウエストパック銀行
–      ナショナル銀行
–      コモンウエルス銀行
–      サンコープ銀行
–      ING銀行
–      Bendigo銀行
–      Macquarie銀行

私の経験上、各銀行が定める条件やフォームは異なり、必要なフォームも新しいものに変わったりしますので、申請が不受理とならないよう、その都度、最新の情報を確認する必要があります。

 

Q Unclaimed Money (凍結口座・休眠口座・没収資金)の返還について、サポートを行っている業者から手紙を受け取りましたが、信頼してもいいでしょうか?

A.  銀行口座の復旧には顧客情報や口座情報などの個人情報を取り扱う必要があります。  あなたの個人情報を伝えて、お金を騙し取られてしまう事がないよう、くれぐれも気を付けてください。 他方、弁護士事務所に所属する弁護士でしたら身元は確かでしょうし、依頼者との間に守秘義務と賠償責任が発生します。

また、調停センターと名乗る業者がいますが、これは公的な機関とは一切関係なく、個人が自称しているビジネスです。  サポート付き(一部)と称して、高額な情報商材を販売しているようです。

近時、多くの詐欺被害が報告されています。  当オフィスでは公益弁護活動の一環として、被害にあわれないよう無償にてご相談をお受けしておりますので、遠慮なくお問い合わせください。

 

 

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