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オーストラリアで離婚が成立しても、日本では離婚したことにならない?
オーストラリアで離婚が成立すると、法律上は日本でも離婚が成立したことになりますが、実務上日本側ではそれを知る余地がないため、手続をしなければ日本の戸籍はそのままになってしまいます。そのため、オーストラリアで無事離婚が成立しても、日本で婚姻届を提出していて戸籍に変動がある場合は日本での手続も必要になります。オーストラリアで離婚が成立したら一段落ついてほっとされるかと思いますが、日本での手続も忘れず行う必要がありますのでご留意ください。
オーストラリアでの離婚成立後行うべき手続
①日本への届出
日本の戸籍上婚姻関係が継続している場合、オーストラリアで離婚が成立してから3ヶ月以内にオーストラリアで離婚が成立した旨を日本の役所に届け出る必要があります。届出を行う行政機関の窓口によって諸条件は異なりますが、 外国人との離婚でも日本への届出は必要ですので注意が必要です。 なお、在オーストラリア日本総領事館が公表しております必要書類及びその通数は下記の通りです。
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(1)協議離婚(日本人同士の場合のみ)
①届書(裏面に証人2人の署名欄があります) 3通
②戸籍謄本(3か月以内に発行されたもの) 2通
※離婚の際称していた氏を称する届 - 旧姓に戻らず、婚姻時の姓を称する届を出すことができます。
離婚の日から3か月以内に提出してください。
(2)判決離婚
①届書(裏面に証人2人の署名欄があります) 3通
②戸籍謄本(3か月以内に発行されたもの) 2通
➂離婚証明書(Divorce Certificate)原本提示
④同和訳分(どなたがされても結構です) 1通
⑤離婚申請書(Application for Divorce) 原本提示
⑥同和訳分(どなたがされても結構です) 1通
⑦Acknowledgement for Service 原本提示(被告が外国人の場合のみ)
⑧同和訳分(どなたがされても結構です) 1通
※外国人との離婚による氏の変更届 - 旧姓に戻る場合は、判決の日から3カ月以内にこの届出を提出してください。
離婚の日から3か月以内に提出してください。
《届書記入の際、修正液は使用しないでください。 間違えた所を二重線で消し、訂正し、二重線の上には訂正印を押してください。》
<注>判決離婚の場合
*判決の日より3ヶ月以内に届出をして下さい。
*平成18年1月1日施行されました民事訴訟法の改正により、判決離婚の届出には、下記の書類が必要になります。(民事訴訟法第118条)
・離婚申請書(Application for Divorce) - 原告・被告を確認するため
裁判所に提出された後、写しを本人控え用に送付されるのが通常です。
・Acknowledgement for Service - 被告が送達を受けたことを確認するため
日本人被告が届出人の場合は不要。
参照 : 在オーストラリア日本総領事館が公表している書類(PDF)
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②氏の変更届
日本国内において、婚姻時に氏を変更した人が離婚後も婚姻中の氏を使用したい時は「離婚の際に称していた氏を称する届」を離婚後3ヶ月以内に提出する必要があります。 この期限を過ぎますと変更の届出は受付られず、婚姻中の氏に変更したい方は日本の家庭裁判所の許可が必要になる場合がありますので注意が必要です。
なお、オーストラリア国内において離婚後も婚姻中の氏を使用したい場合もあるかと思いますが、この場合は特に何もする必要はありません。 オーストラリアでは離婚後も元配偶者の氏を名乗ることについては全く問題ありませんし、詐欺的な行為に触れなければ、旧姓と元配偶者の姓の両方名乗って頂いても法的には問題はありません。 もしDriver’s Licenceや銀行口座の名義を旧姓に戻されたい場合は、州政府の陸運局や銀行など該当する機関にDivorce Certificateを持参することで名義変更を行うことができます。
③離婚証明書(Divorce Certificate)の翻訳
日本で離婚を届け出る際に離婚証明書の翻訳文を提出する必要があります。これは特に資格を有する公認翻訳士の翻訳文が必要となるわけではありませんので、ご自身でなされても問題ありません。 当オフィスでも対応しておりますので、必要であれば、ご相談いただければと思います。
オーストラリアの離婚書類の翻訳業務
当オフィスで翻訳業務を取り扱っている離婚関連の書式リスト
- 離婚証明書(Divorce Certificate)
- 離婚申請書(Application for Divorce)
- 宣誓供述書:送達(Affidavit of Service)
- 受領確認書(離婚)(Acknowledgement of Service)
- オーストラリア連邦家庭裁判所発行冊子(Marriage, Families and Separation)
次の記事では、゛オーストラリアの調停制度(メディエーション)” について解説します。
なお、離婚についてのコラムは全9回(現在、6回目のコラム表示中)の掲載となります。全リストは以下をご参照ください。
1:オーストラリアにおける離婚事情と離婚手続
2:オーストラリアにおける離婚ー何を決めなければならないか
3:オーストラリアの養育費
4:オーストラリアの離婚~インターネット上の情報に惑わされないために~
5:オーストラリアにおける離婚弁護士の選び方
6:オーストラリアで離婚成立後行うべき3つの手続
7:オーストラリアの調停制度(メディエーション)
8:ハーグ条約 - 子供の連れ去りについて
特集記事: 離婚案件のエキスパート、神林弁護士に聞く! (NEW!!)
オーストラリアの月刊誌・日豪プレス(2018年12月号)において、当オフィスの特集記事「離婚案件のエキスパート、神林弁護士に聞く!」が掲載されました。 (2018年11月27日追記)