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オーストラリアの遺産相続・遺言執行の際に良くある質問
弁護士をしていて日本人の方から良く聞かれる質問No1はズバリ、「サインは漢字でも良いですか?」というものです。
この質問に対する答えは、「サインは漢字でもアルファベットでも良いですし、絵でも構いません。」というものになります。
オーストラリアでは契約の意思表示としてサインを行うことで契約を締結します。 日本では楷書体など自分の名前がクリアに解るよう自筆で署名した上で印鑑を押すことが一般的なのでしょう。 そのためか、日本人の方に書類を執行いただく際に 「サインは漢字でも良いですか?」 と良く聞かれます。 元々は本人照合が目的ですから、本人照合できるのであれば、サインは漢字でもアルファベットでも絵でも構いません。 本人のサインであることが確認でき、また、ご本人以外には書けないサインが良いと思います。 ただ、あまり凝ったものだと何回も書くのは大変ですから、パスポートで使用されているサインに統一されておくのが無難だと思います。
このような感じの質問は遺言執行時に良くお受けしておりますので、私がクライアントの方に事前お渡ししている遺言執行についての注意点をまとめた ”遺言書の執行について” (←実際のPDF版はこちらをクリック)をここで公開したいと思います。
遺言書の執行について
- オーストラリアにおける遺言書の執行、すなわち書類に署名する時には、Witness(証人)が2人立ち会う必要があります。
- Witnessは18歳以上で遺言者と利害関係に無い方(相続人になる可能性がある方は不可)に証人として立ちあってもらう必要があります。 Witnessは遺言者本人が自身の面前で遺言書に署名した旨を確認する立会人としての署名を行いますが、Witnessは遺言書の内容を把握している必要はなく、遺言者が面前で署名をしたことの確認の意味で署名を行います。
- 遺言書は各ページ最下部のTestator:とある箇所の右側に遺言者が署名し、Witnesses:とある箇所の右側にWitnessが署名します。 最終ページには日付を記入した上でSIGNED AND ACKNOWLEDGEDとある署名箇所右側に遺言者が署名し、Witnessとある項目にWitnessの方のフルネーム、住所、職業を英語の活字体で記入し署名を行います。 詳しくは本書類に添付のサンプルをご参照ください。
- 署名する際には黒いインクのペンを使用し、遺言者とWitnessは同じペンを使用してください。
- 署名は漢字でも問題ありませんが、パスポートで使用されているご署名に統一されてください。
- 遺言書にご記入の際、修正液は使用しないでください。 間違えた所は二重線で消し、訂正し、二重線の上に立会人を含む執行者全員の署名を行ってください。
- 遺言書はホチキスやピンなどで穴をあけず、遺言書の用紙が執行時のまま保たれた状態で保管する必要があります。
- 残されたご家族が何処に相続財産があるか解らなくて困るということがないよう、金融機関と口座番号などがわかるStatementを遺言書と一緒に保管しておくことをお勧めします。
次のページでは、“オーストラリアに資産をお持ちの場合の注意点” を纏めてみたいと思います。