オーストラリアの弁護士へのメール相談について
ごく稀に初回メールでの問い合わせ段階で具体的な質問をいただくことがあります。 私も可能な限り回答を差し上げたいとは思うのですが、弁護士がアドバイスを行う際には ”事実関係を把握する作業” と ”該当する法律にあてはめる作業” が必要となり、お伺いしている事実関係が違うと回答が大きく変わってくるということがあります。 コンサルティングであればお伺いした内容をその場で具体的に掘り下げ、事実関係を確認していくことが出来ますが、メールではなかなかそうもいきませんし、間違ったニュアンスで伝わってしまうことも少なくありません。
これは医師の仕事を例に挙げると解りやすいと思いますが、メールで 「お腹が痛いんですが、これは癌ですか? 放っておいても大丈夫ですか?」 と質問されても、普通の医師は回答できないようなものだと思います。 通常は医師も患者に面会して話を詳しく伺った上で、触診をしたり、場合によってはレントゲンやCTスキャンを撮って判断するように、我々弁護士も直にお話を詳しく伺ってから、資料を拝見したり、時には調査を行ってからアドバイスを行う形となります。 ですから、初回相談は一方通行のメールではなく、面談かスカイプや電話でのコンサルティングで細かく状況と事情背景をお伺いした上でアドバイスを行うのが一般的です。
メールだけでの相談の場合、最初に時間を掛けて打ち合わせを行っていれば防ぐことのできた行き違いや無駄なプロセスが発生してしまったり、最悪のケースでは取り返しのつかない事態に陥ってしまうことがありますし、実際にそのようなケースも少なからず取り扱っています。 我々弁護士の仕事は、医師と同じでメールだけで状況を判断し、アドバイスをすることは出来ないということをご理解いただければと思います。